星野

「雑念打」は2002年だから結構古いですよね。

宮澤

今公開しているのはバージョン２なんで、
オリジナルは2001とかそれくらい。

バージョン２を創ったのは
nekogames の石井さんの影響なんですよ。

星野

そうなんですか。
それはどんな影響で。

宮澤

nekogames の「雨ニモマケズタイピング」の影響ですね。
タイピングゲームって、日本語のタイピングでも
表示されたアルファベットの通りに打たないと
認識してくれなかったりするじゃないですか。
「雨ニモマケズタイピング」もアルファベットの
表示もあるんですけれども、それとは違う
アルファベット入力、例えば「ち」を
「ti」じゃなくて「chi」とか打つと、
ちゃんと認識して、表示もそれにあわせて変わるんですよ。

それを見た時にさすが巨匠だと思って、
負けてられん、うちもやろう、と。 雨ニモマケズタイピング

星野

ユーザーフレンドリーな実装に、
ちょっと闘志を燃やす感じで（笑）

「雑念打」の面白さは場面設定の面白さだと
僕は思っていて、それがあるので、
1回プレイしてもまたやりたくなるんですよね。

宮澤

テーマっていうのか、
僕は割りと日常が好きなんですよ。
世界を冒険するとか魔王を倒すっていうのよりは、
ごく普通の満員電車の一駅の話しだとか、
「GOKI DASH」みたいなどこかの普通の家とか
そういう狭いところにスポットを
当てるのがすきなんですよね。 GOKI DASH

星野

「雑念打」では、電車の中っていうシチュエーションと
タイピングゲームっていうゲーム性では
どっちが先にあったんですか？

宮澤

タイピングゲームっていうのがまずありましたね。
雑念を入力するタイピングゲーム。

星野

雑念をタイピングっていうセットだったんですね。
そのシチュエーションとして満員電車。

宮澤

たくさん人がいて、雑念がたくさん渦巻いている
ところってどこだろうって考えて、満員電車にしよう、と。
これを創ったときはまだ学生だったんですけど、
学生の時は結構充実した生活を送っていまして
多分唯一のストレスが満員電車だったんですよ。

星野

「当時は生活が充実してた」っていうところが
気になってしまいますが（笑）それは置いておいて、
「雑念を打つ」っていうところが面白さだなぁ、
と思ってるんですけど、このセットには
何か理由があったんですか？

宮澤

理由は無いですね、多分。
自然に出てきたんじゃないかなぁ。
このころって、なんでそれなのっていうことが
パッパパッパと出てきてたころで、
「モアイまわし」とかにしても
「どうしてモアイを回すゲームを思いついたんですか？」って
結構聞かれるんですけど、理由はなくて、
ただ「モアイまわそう」って思って（笑）
だから、理由を聞かれると本当に困るんですよね。 モアイまわし

星野

これでやろう！って思ったときに、
自分でカタチにできちゃうんですよね。
カタチにしちゃうと、不条理さみたいなものが
きちんと面白さとして伝わるところがありますよね。

でも、「雑念打」は頭で試行錯誤して
出てきたんじゃないかと思える
タイピングゲームにうまくマッチした
シチュエーションだと思えたんですよ。

タイピングゲームって、打てるようになっちゃうと
もう一回はあまりやらなかったりするじゃないですか。
でも「雑念打」は日常で誰でも思っていそうなことを
入力するっていうシチュエーションが面白くて
またやりたくなる時がくるっていう。

宮澤

そうかもしれないですね。

星野

その割には「雑念打」に出てくる雑念は
結構ソフトだなぁ、っていう印象もありますけど（笑）

宮澤

雑念は、自分が電車の中で考えるようなことを
適当に考えただけで、そんなに深い意味はないですね。

星野

あ、そうなんですか。
じゃあ、僕の雑念がドロドロしすぎてるだけなんですね（笑）

宮澤

プレイヤーが入力するんであんまり過激なのは
さすがにないですけど（笑）普通に考えそうな雑念と、
あとゴロがいいのは入れようと思って。
「パン屋の息子に嫉妬する」とかは意味分からないですよね（笑）

星野

雑念とタイピングっていう組み合わせがはじめからあって、
そこに言葉のリズムとかで味付けをしていったんですね。
それじゃ、自然に出てきた「モアイを回そう」っていう
「モアイまわし」について聞かせてください（笑）

（聞き手：0stage 星野健一）

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