第 4 回 石井×渡邊

第1回ウェブゲームクリエイターインタビュー 石井克雄

2. 「星探」はオレの作品っていう意識がある - 自分の作品に対する感覚

星野

石井さんは「Cursor*10」をパッケージにしたいっていう
話しを受けたときにどう思いました?
第一印象として。

石井

「へー」って思った(笑)

星野

「へー」には何が含まれてますか?(笑)

石井

コンシューマにしちゃうのか、
すごいなっていう感じですかね。
コンシューマでつくって大丈夫かな
っていう心配もちょっとありました。

星野

心配の理由ってなんでしょうね。 スクリーンショット

石井

オレが適当につくったゲームで
そのまま進めちゃっていいのかなっていう。

星野

石井節だ(笑)
「Cursor*10」って外野からみると
適当につくったっていう表現が全然ピンとこないゲームだから。

渡邊

そう。
全て計算づくでつくったような印象。

星野

すごく完成された年賀状という(笑)
(注:「Cursor*10」は年始の挨拶ゲームとして開発されてます)

確かにインタビューのときも、
つくりながら完成していったということでしたよね。
だから、アイデアがあってそれをカタチにするのが
ちゃんとしたつくり方だとすると、
適当っていう言い方は納得もします。

石井

「Cursor*10」っていうタイトルには
あまり強い思い入れはないんですよね。

星野

つくってる過程ではなく完成してからも
すごくいいゲームになった的な印象はなかったんですか?

石井

なかったですね。
ゲームとしてちゃんと完成してよかった。
正月に間に合ってよかった、っていう気持ち。

カーソルの履歴を取ってそれが協力するっていうのは
そんなにすごいアイデアだとは思わなかったですね。

星野

それも前回のインタビューで出てきましたね。
中村勇吾さんの作品でもあったしっていう。

石井

つくってる過程でもっと面白くするのに考えて付けたのは
三角のターゲットを置いて点数をつけたところですね。 スクリーンショット

星野

やり込んで行くための要素ですね。
まずはクリアを目指して、クリアしたら、
次はターゲット全部取ってみようっていう。
実際、ターゲット取り始めるとまた違った動きを
しないといけなくなりますからね。戻るとか。

僕自身もそうだし、ウェブ上でも「Cursor*10」の
アイデア的な部分を高く評価している記事をみたりしますけど、
石井さんにとってはそれほど重要ではないんですね。

渡邊

石井さんはアイデアの部分も含めて
たくさんのゲームをつくってますよね。
実際にアイデアとして考えているのは
当然完成したものの数以上だろうから、
ひとつひとつのアイデアで一喜一憂しないんでしょうね。

星野

己の信ずる道を行け」の話しのときに、
自分以外がディレクションをするっていう事に
抵抗はなかったですか?

石井

「つくりたい」に対しては「どうぞ」ですね。
「つくってください」であれば別ですけど。

星野

逆に聞くとわかるのかも。
「つくりたい」って言われて
「だめ」って思うタイトルはありますか?

石井

「星探」ですね。
「星探」はオレの作品っていう意識があるから、
誰かがつくりたいっていっても
ディレクションできなければ断ります。 スクリーンショット

星野

なるほど。なんかわかった!
「Cursor*10」はルールが要素のほとんどを占めるゲームですよね。
星探」はルール…、あ、ルールも量産しているけど、
ルールの上に物語がのっているっていうのかな。
例えば送電線が見える夕暮れの風景のステージでは
それをみたプレイヤーの心に何か記憶がよみがえったり、とか。
あるいは、コルクみたいな栓を抜くっていう
単純なアクションにちゃんと意味が付加されていたり、とか。

そういう、ゲームとしてのルールだけじゃなくて、
そのルールの上での表現の方が石井さんとしては
重要な要素になるんじゃないですか?

石井

うーん、そうかも。
そうなのか?(笑)

星野

あー、すいません(笑)
でも、そうやって考えて僕は納得しました。

僕はアイデア自体に興奮したし、
「Cursor*10」を評価する人たちの視点はそこに向いてますよね。
そのルールにどう意味づけをするか。
純粋なルールゲームだとするとさっき渡邊さんが言っていた
「可能性の塊」っていう表現もピンときました。

それでは、そんな「己の信ずる道を征け」に
望むことっていうのはありますか?

石井

うーん、そうですね。
ゲーム内容に関しては特にないです。
どんなゲームになるか楽しみにしてます。

それ以外では、たくさんの人の手に届く作品にして欲しいですね。
ゲームはプレイしもらってなんぼですから、
より多くの人に遊んでもらえるようになって欲しい。

(聞き手:0stage 星野健一

関連リンク
nekogames
・nekogames : Cursor*10
・nekogames : 星探
フロム・ソフトウェア
・フロム・ソフトウェア : 己の信ずる道を行け
シリコンスタジオ
okama
ゼロステージインタビュー : 第1回 石井克雄
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