2. 「星探」はオレの作品っていう意識がある - 自分の作品に対する感覚
星野
石井さんは「Cursor*10」をパッケージにしたいっていう話しを受けたときにどう思いました?
第一印象として。
石井
「へー」って思った(笑)星野
「へー」には何が含まれてますか?(笑)石井
コンシューマにしちゃうのか、すごいなっていう感じですかね。
コンシューマでつくって大丈夫かな
っていう心配もちょっとありました。
星野
心配の理由ってなんでしょうね。石井
オレが適当につくったゲームでそのまま進めちゃっていいのかなっていう。
星野
石井節だ(笑)「Cursor*10」って外野からみると
適当につくったっていう表現が全然ピンとこないゲームだから。
渡邊
そう。全て計算づくでつくったような印象。
星野
すごく完成された年賀状という(笑)(注:「Cursor*10」は年始の挨拶ゲームとして開発されてます)
確かにインタビューのときも、
つくりながら完成していったということでしたよね。
だから、アイデアがあってそれをカタチにするのが
ちゃんとしたつくり方だとすると、
適当っていう言い方は納得もします。
石井
「Cursor*10」っていうタイトルにはあまり強い思い入れはないんですよね。
星野
つくってる過程ではなく完成してからもすごくいいゲームになった的な印象はなかったんですか?
石井
なかったですね。ゲームとしてちゃんと完成してよかった。
正月に間に合ってよかった、っていう気持ち。
カーソルの履歴を取ってそれが協力するっていうのは
そんなにすごいアイデアだとは思わなかったですね。
星野
それも前回のインタビューで出てきましたね。中村勇吾さんの作品でもあったしっていう。
石井
つくってる過程でもっと面白くするのに考えて付けたのは三角のターゲットを置いて点数をつけたところですね。
星野
やり込んで行くための要素ですね。まずはクリアを目指して、クリアしたら、
次はターゲット全部取ってみようっていう。
実際、ターゲット取り始めるとまた違った動きを
しないといけなくなりますからね。戻るとか。
僕自身もそうだし、ウェブ上でも「Cursor*10」の
アイデア的な部分を高く評価している記事をみたりしますけど、
石井さんにとってはそれほど重要ではないんですね。
渡邊
石井さんはアイデアの部分も含めてたくさんのゲームをつくってますよね。
実際にアイデアとして考えているのは
当然完成したものの数以上だろうから、
ひとつひとつのアイデアで一喜一憂しないんでしょうね。
星野
「己の信ずる道を行け」の話しのときに、自分以外がディレクションをするっていう事に
抵抗はなかったですか?
石井
「つくりたい」に対しては「どうぞ」ですね。「つくってください」であれば別ですけど。
星野
逆に聞くとわかるのかも。「つくりたい」って言われて
「だめ」って思うタイトルはありますか?
石井
「星探」ですね。「星探」はオレの作品っていう意識があるから、
誰かがつくりたいっていっても
ディレクションできなければ断ります。
星野
なるほど。なんかわかった!「Cursor*10」はルールが要素のほとんどを占めるゲームですよね。
「星探」はルール…、あ、ルールも量産しているけど、
ルールの上に物語がのっているっていうのかな。
例えば送電線が見える夕暮れの風景のステージでは
それをみたプレイヤーの心に何か記憶がよみがえったり、とか。
あるいは、コルクみたいな栓を抜くっていう
単純なアクションにちゃんと意味が付加されていたり、とか。
そういう、ゲームとしてのルールだけじゃなくて、
そのルールの上での表現の方が石井さんとしては
重要な要素になるんじゃないですか?
石井
うーん、そうかも。そうなのか?(笑)
星野
あー、すいません(笑)でも、そうやって考えて僕は納得しました。
僕はアイデア自体に興奮したし、
「Cursor*10」を評価する人たちの視点はそこに向いてますよね。
そのルールにどう意味づけをするか。
純粋なルールゲームだとするとさっき渡邊さんが言っていた
「可能性の塊」っていう表現もピンときました。
それでは、そんな「己の信ずる道を征け」に
望むことっていうのはありますか?
石井
うーん、そうですね。ゲーム内容に関しては特にないです。
どんなゲームになるか楽しみにしてます。
それ以外では、たくさんの人の手に届く作品にして欲しいですね。
ゲームはプレイしもらってなんぼですから、
より多くの人に遊んでもらえるようになって欲しい。
(聞き手:0stage 星野健一)
関連リンク
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・nekogames : Cursor*10
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・フロム・ソフトウェア : 己の信ずる道を行け
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・ゼロステージインタビュー : 第1回 石井克雄
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