第 4 回 石井×渡邊

第1回ウェブゲームクリエイターインタビュー 石井克雄

3. 初めての人に丁度いい難易度 - プラットフォームとゲームの関係

星野

己の信ずる道を行け」は東京ゲームショー
プレイアブル展示されてましたよね。
反響はいかがでしたか?

渡邊

ゲームショーの時のアンケートも
みせてもらったんですけど好評でした。
「面白かったのでちゃんとつくりこんで欲しい」
とかあってとてもうれしかったです。

星野

ゲームショーバージョンはどんな内容だったんですか?

渡邊

チュートリアルステージのみだったんですけど、
ステージ構成はほとんど「Cursor*10」のステージでした。

色々ギミックもつくっていたんだけど、
ゲームショーバージョンでは全然使わなかったです。

星野

それはなんで?

渡邊

難しいかった。とにかく難しい。

石井

プレイをみせてもらったけど、
何やってるかわからなかった(笑) スクリーンショット

渡邊

いろんな人にプレイしてもらって、
色々調整したんだけど、最終的には
ゲームショーバージョンは
「Cursor*10」の構成に落ち着きました。
初めての人に丁度いい難易度なんですよね。

星野

ゲームをつくる過程では難易度は高くなりがちですよね。
これまたインタビューではになっちゃうんですけど、
石井さんは難易度を意識してつくってますよね。
易しさに対する意識。

石井

遊んでもらってなんぼ(笑)

星野

やっぱりそこ(笑)
ひとつの作品としてリリースされている状態で、
はじめての人に丁度いい難易度っていうのは、
やっぱりすごいなぁ、と思います。

ウェブゲームだから必要な難易度でもあるわけですよね。

石井

難しすぎてもプレイし続けてくれる人は
そうそういないですから。
ひとつのステージだけだから
簡単すぎず難しすぎずで調整してます。
感覚ですけど(笑)

星野

まだ完成してないのに聞くのも変なんですけど
ここまでで「己の信ずる道を征け」制作秘話というか
苦労話的なものってありますか?

渡邊

時間切れを待つシチュエーションを
どう処理するかはかなり悩みました。

例えばスイッチを押して、あとは押しっぱなしで
時間切れを待たなきゃいけないときってあるじゃないですか。
ステージ数が多くなるとただ待つだけの
状態を放置するわけには行かない。

結局、制限時間終了までをスキップできる
ショートカットを追加したんですけど、
本当にショートカットでいいのか?っていう
葛藤がずっとありました。

星野

それは逆にパッケージとしての悩みですね。

「己の信ずる道を征け」はアイデア流用系ではなくて、
演出系で「Cursor*10」をリスペクトしてますよね。
そうしたのに理由はありますか?

渡邊

演出系っていうのは?

星野

例えば「DIAMOND MINE」に対する「ZOO KEEPER」とかを
勝手に演出系と呼んでみました。

アイデア流用系は「Cursor*10」に対する
CHRONOTRON」とか。
「CHRONOTRON」が「Cursor*10」から
アイデア流用したのかどうかはわからないんで、
そこは踏まえてもらっての例なんですけど。

渡邊

なるほど。
過去の自分の再生っていう部分だけを切り出すと
いろんな可能性が広がりますよね。
広げていけばレースゲームのゴーストとかも
ある意味では同じものだし。

本当に初期の段階ではそういう可能性も考えました。
その上でゲーム性の部分はいじらない方がいい
という結論に至りました。

星野

それはどうしてですか?

渡邊

かけられる時間とかの実際的な条件も踏まえてはいるんですけど
一番大きいのは「Cursor*10」のゲーム性が
完成度が高いことですね。いじらないでそのままの方がいい。 スクリーンショット

星野

なるほど。

ちゃんと話しているから余計なことではあるんですけど、
もし、何も聞かされずに「己の信ずる道を征け」を
リリース後に知ったらやっぱり不快感がありますか?

石井

どうだろう。
ないんじゃないかな。

星野

あ、そうなのか。

石井

「Cursor*10」に思い入れがないから(笑)
デッドコピーだったら別ですけど。
FLASHを勝手にコピーして別サイトで公開されたり、
勝手に手を入れられてたりしたら最悪ですけどね。

星野

なるほど、さっきの話しで考えるとそうなるのか。

渡邊

星野さんはどう考えているんですか?
今日はその辺も聞けるかと思っていたんですけど、
あんまりしゃべらないですよね。

星野

いや、インタビューだから僕があまりしゃべっちゃいけないのに、
むしろしゃべっちゃうのがダメなところなんです(笑)

ゲームに対する権利についてとか細かい話しもあるんですけど、
それはちょっと話しがずれちゃうんで置いておいて、
最近思っているのは、あいさつしようよっていうことですね。
リスペクトしたらリスペクトしたぜって言おうという。
あいさつを交わしたあとにどういう風に話しが展開するかは
当然ケースによって違ってくると思うんですけど、
まずはあいさつをしよう、と。

そういう意味で「Cursor*10」と「己の信ずる道を征け」の
流れはすごくいいカタチだと思いますね。

(聞き手:0stage 星野健一

関連リンク
nekogames
・nekogames : Cursor*10
・nekogames : 星探
フロム・ソフトウェア
・フロム・ソフトウェア : 己の信ずる道を行け
シリコンスタジオ
okama
ゼロステージインタビュー : 第1回 石井克雄
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