第 3 回 ババラ

第1回ウェブゲームクリエイターインタビュー 石井克雄

3. 深いものはない(笑) - 「けすくん」開発秘話

星野

やめられない、とまらない、
逃れられない恐怖「けすくん」なんですけど(笑)

ババラ

「けすくん」を創った経緯が
昔、米光さんに「ぷよぷよ」ってプログラム的には
どうやって創ってるんですかって聞いたことがあったんです。
そうしたら仮想スクリーンで計算しているっていう話しで
そうするときちんと言語を学習してないと実装できないんで
そのときの自分には無理だって思ってたんです。
でも FLASH lite でゲームを創ったときに
FLASH lite の仕様に辛いものがあって
仮想スクリーンを使わないと実装できないことがあって
それで「ぷよぷよ」っぽいものもつくれるようになったんで
じゃあつくってみようっていう流れです。 スクリーンショット「ふつうに」と「しぬまで」の2つのモード

星野

「けすくん」はまず最初に
「ふつうに」と「しぬまで」モードがあって
最初は「しぬまで」って当たり前ジャンと思いますよね。
「ふつうに」死ぬまでプレイするのと何が違うのかと思って
プレイすると「しぬまで」モードは死なない。
だから自分が「しぬまで」プレイできるってことか!
というのでまずぐっとつかまれる(笑)

ババラ

死ぬのはお前だ!

星野

それで、ただプレイすると絶対死なないゲームなんだけど。
でもそうすると最高の状況をつくりたくなってきて、
つまり、1マスのこして全部を同色で埋め尽くしたくなる。
なるんだけど、そうすると最後の最後で運が必要で
これがギリギリでなかなかクリアできない。
そのバランスが絶妙で。 スクリーンショット「しぬまで」モード、ごらんの通り終わらない

ババラ

でも、その辺はまったく意図してないんで(笑)
全然意図していない捕らえられ方をしていて
若干困惑してるんですけど、
このゲーム脳トレゲームとして
紹介されたりもしてるんですよ。

星野

え、本当ですか?

ババラ

まあ無断リンクなんですけど(笑)
一箇所クリックし続ければ絶対終わらないゲームなのに
何が脳トレだとか思ってたんですけど
深いものがあるといわれると、そんなものはない(笑)

星野

いや、創造力をかき立てますよ。
解釈に対する創造力と、
自分でプレイルールをつくりたくなる創造力。

ババラ

確かこれを創ってたころに
企業サイトからゲーム制作の依頼が結構きていて
そのときのストレスが高まって
こんなゲームになっちゃったんじゃないかと思うんですね。

星野

どういうストレスですか?

ババラ

企業サイトからのゲーム制作って
なんかどうでもいい的当てゲームなのに
スコア登録の不正を防ぐみたいなことだけ
きっちりやらなきゃいけなかったりとか、
繰り返しプレイしたくなるような工夫をしてくれとか
金額と要求も全然つりあってなくて
じゃあもうゆるゆるのゲームつくってやろうっていって
創ったんじゃないかなぁと(笑)
そういう反動で創っちゃったのかもしれない。

星野

割とたまに何も考えずに遊んでるくらいだったんですけど、
マックス目指してプレイし始めたら
途端に新しい世界が広がってしまった。

ババラ

あと、「ZOO KEEPER」の時間制限がキツキツだったのに対する
反動もあるかも(笑) スクリーンショットユーザ操作が発生するまで待ってくれる

星野

ゲームにストレスを求めていないってことですよね。

ババラ

そうそう。
プレイのストレスもそうだし、
個人でつくってるのにフレームレート気にしたりとか
難しすぎて誰も遊べなかったりとか
つくる方のストレスもなんか違うなって思うし。

星野

そうですね。
自分の経験でもそうですけど
今はもうあんまり気にしなくてよさそうな
ロースペックマシンでも動くように心血注いでしまったり
しがちですよね。
商業だったらあるいは必要かもしれないけど。

ババラ

このゲーム内部処理がすごいダメダメで
同じ色の隣接判定が9回くらいのループで
初めて1回の判定になってるんですよ。

星野

なんで9回なんですか?

ババラ

1回で済ませる方法もあると思うんですけど
それはできなかったんで繰り返して判定するようにして。
回数ももうちょっと少なくてもいけると思うんですけど
念のため9回くらいの意味しかないです(笑)

星野

すごい、いい話し(笑)

ババラ

今つくるともっとましなコードになるとは思うんですけど。

星野

でも、リアクションはすごく軽いですよね。

ババラ

そう、軽いんだけど中はめちゃくちゃ。
プログラマが見たらきっとぶちきれる。 写真

星野

(笑)
そこがFLASHのいいところですから。
本当に最近つくづくそう思うようになってきた。
動くものを公開するっていうのが
創るということにとってとても大切です。
伺っていると、試しにつくってブログで公開して
リアクションを見てつくり込んでいったり、
途中で終わっちゃったりということで
つくり始めは割りとゆるい感じで
とりあえずつくってみるということですよね。

ババラ

「けすくん」はつくり始めたらできちゃったんで
そのまま公開っていうのもありますけど
基本的にはそうですね。
最近は特に規模が大きくなってきて
出来上がるのに何ヶ月もかかったりするんで
それはブログでちまちま公開してないと
遊んでると思われちゃうんで、
ブログで公開も生存確認の意味合いが強いところもある

星野

そんな恐怖感があるんですか?(笑)

ババラ

割とあります。
週末に「ペルソナ4」とかやってて
「あー、ダメだ俺」って思いながらクリアしたりとか(笑)

(聞き手:0stage 星野健一

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